【完】幸せをくれたあなたに。
「どこまで行くんですか?」
「んー、そこのカフェでいい?」
遥生くんが指をさしたのは、学校から少し歩いたところにあった駅前のカフェ。
「いいですよ」
ドアを開けると、定員さんの声が響き渡る。
席を案内され、遥生くんの前に座る。
「なに飲む?」
そう聞かれ、私はメニューに目を移した。
「えっと、ミルクティーのホットがいいです」
「わかった」
遥生くんは、定員さんを呼んで私の分の頼んでくれた。
「それで、なにか話あったんじゃないんですか」
「んや? ないよ?」
当たり前のように返事をしてきた。
「じゃあ、どうして私を誘ったんですか」
「んー? だって……あっ、名前なんて言うの?」
知らなかったんだ。