【完】幸せをくれたあなたに。
「いや、特になにも」
「ふーん」
藍那は、気になっていたのか、「そっか」と小さく呟いた。
「ごめんね」
謝ったものの、どんな理由で謝っているのか、なぜ自分が謝っているのか。
そんな疑問が後から、出てきた。
「ううん。じゃー……また明日!」
「うん。また明日……」
私の返事を最後にし、背を向け、帰っていく藍那の後ろ姿を見つめた。
誰もいなくなった教室。
だけど、どこか遠くから、わいわいと話し声が聞こえる。
「はあ……」
席に座っている私は、ため息をつきながら、机に顔を近づけていく。
友達……か。
友達って、どこからが友達で、
どこまでが友達だというのだろう。