【完】幸せをくれたあなたに。




「いや、特になにも」


「ふーん」

藍那は、気になっていたのか、「そっか」と小さく呟いた。


「ごめんね」


謝ったものの、どんな理由で謝っているのか、なぜ自分が謝っているのか。


そんな疑問が後から、出てきた。


「ううん。じゃー……また明日!」

「うん。また明日……」


私の返事を最後にし、背を向け、帰っていく藍那の後ろ姿を見つめた。


誰もいなくなった教室。


だけど、どこか遠くから、わいわいと話し声が聞こえる。


「はあ……」

席に座っている私は、ため息をつきながら、机に顔を近づけていく。


友達……か。


友達って、どこからが友達で、

どこまでが友達だというのだろう。




< 91 / 204 >

この作品をシェア

pagetop