【完】幸せをくれたあなたに。
「…………」
それにしても静かだ。
松井くん、どこに行ったんだろう。
隣を見れば、まだ鞄がある。
帰ってないってことは、まだどこかにいるんだ。
私は再び席を立ち、あまりにも遅い松井くんを探すことにした。
「え……? ……うし……」
「頼む。……つに……うな」
下駄箱近くの、階段を下りていると、どこからか聞こえる男女の声。
途切れ途切れで聞こえづらい。
だけど、遠くから見えた2人のシルエットは、
帰ったはずの藍那。
それから、松井くんだった。