【完】幸せをくれたあなたに。
どうしていつも、こうやって優しくするんだろう。
ただたんに、優しいだけなのかも知れない。
だけど、その優しさが苦しくなる。
授業が終われば、藍那が
「授業中にぼーっとしてたんでしょ」
「え、なんでわかったの?」
「なんとなくだよ。なんか考え事?」
こんな考え事……藍那には言えないや。
「大してなにも考えてなかったけどね」
「そっか。なんかあったらいつでも言ってね」
そう言ってくれた藍那に私は、頷くだけで声に出して返事はしなかった。