この恋、きみ色に染めたなら





『先輩…あの…絵の続き、やりましょう……?』





なるべく笑うようにした。


なるべく先輩の前で笑うようにした。



でも、先輩は笑いもしない。











『紗希、なんで朝、俺を待ってなかったの?』





笑いもしない、それでも口を開いてくれた先輩。



先輩が話してくれた、それは本当に嬉しい…。



でも先輩のその問いかけに私の口元が引き攣るようだった。









『紗希、』

『HRが始まるから…!
 担任、ちょっとの遅れでも遅刻扱いにしちゃうんで…だから……』




いつもと逆。



いつもは私の言葉を先輩が遮るのに。


今日は私が先輩の言葉を遮った。









『紗希、準備室に入ってないよな?』




射るような、そんな瞳に、

突き刺さる、先輩の言葉に、

私の鼓動が速くなっていく…









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