この恋、きみ色に染めたなら
『……せ、先輩こそ…どうしてそんなにこの部屋に入ったか聞くんですか…?』
先輩にまた問いかけられても返答に困るだけ。
先輩に話すタイミングを与えないように、何か話しかけなきゃ…そう思ってでた問いかけ。
なんで、このタイミングで、
この雰囲気の中、口から出てしまったのか……
後悔が押し寄せるも、私は先輩の目を見る。
『言ったよな?
俺の一番嫌いな部屋なんだ。
俺が一番嫌いな部屋、だから他の奴に入ってほしくない部屋なの、ここ…』
“俺が一番嫌いな部屋”
彼女と幸せに過ごした部屋だから?
彼女との想い出に溢れている部屋だから?
でも、彼女は先輩を置いていなくなったから?
“他の奴に入ってほしくない”
この部屋は彼女と二人だけの部屋だから?
先輩の前から姿は消えても、それでも尚先輩の心に焼き付いているから?
『………嫌い……じゃなくて…特別な部屋……だったりするからですか……?』