この恋、きみ色に染めたなら
こんなこと聞いてどうする…
こんなこと聞いて、先輩が“そうだよ”と答えたら……
先輩の想いが本物になっちゃうじゃんか…
まだ先輩が忘れられていないと、
まだ先輩が彼女を想っていると、
先輩に言われたも同然になっちゃうじゃないか…
『………紗希、お前、あの時どこにいた?』
先輩の目が何かを疑っているようで、
先輩の問いかけが何かに気付いたようで、
私は唾を呑みこんだー…
『紗希、HRに遅れたら…って言ってたけど、お前HR出てないよな?』
先輩の真っ直ぐな目に捕らわれ、私は息をするのがやっとのことでー…