この恋、きみ色に染めたなら
先輩の視線から、
先輩の問いかけから、
逃げたくて発した言葉ー…
だからかな、
だから私は上手く笑えないんだー…
『お前が描けって言ったんだ。
ちゃんとこっち見て笑えよ』
描き始めて数分、上手く先輩を見れず笑えない私に先輩は冷たい視線を向ける。
『………ごめんなさい。
ちゃ…ちゃんと笑います……』
必死の笑顔を作る、必死の笑顔を先輩に向ける。
それでも先輩はため息を吐いた。
ううん、先輩がため息を吐いてしまう理由、分かる。
私だって、例え偽りだとしても笑顔を見せたいよ、なのに見せれなくて。
私だって、自分自身にため息を吐きたいよ…
『もう辞める?
お前、多分笑うとか無理じゃん』
『………そ、そんなこと……』
『無理だって、だってお前……』
先輩はそう言って、口を閉じる。
『………先輩?』
『とりあえず無理だろ?
今日は辞めよう』
始めてそんなに居た訳じゃない。
私がモデルなのに笑えなかったせいで…