この恋、きみ色に染めたなら



『じゃ、中に入って』


店主さんはニコニコと微笑みながら、お店の鍵を開ける。


ドアを開けると、店主さんは開けたドアの横に立ち、手で“どうぞ”としてくれた。 






『…でも今日、お休みじゃ……』


私がそう言うと店主さんは、


『新作のケーキ、試しに食べていってくれない?
 それであなたの感想を聞いて改善するところがあったら改善して、それで商品として列べるから』


店主さんのその言葉に、私はお店へと入る。

その後を店主さんも追いかけるかの様に入ってきた。




『今、足りないのを買い足しに行ってたところなの。
 あと一時間もあれば出来上がるから、色々お話しましょうね』


店主さんは言いながらウィンクしてくる。



店主さんは私が何をしに、お店に来たのかが分かっているようだった。 

 
 

『あの…』

『肇のこと、聞きにきたんでしょ?』



店主さんの言葉に、やっぱりバレていると悟る。


  
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