この恋、きみ色に染めたなら






いつもなら家で何をしている時間かな…。





お母さんのご飯を食べてる頃、かな…。





今日はそんな時間に、私は廊下を走ったり、階段を駆けあがったり、本当に走ってばっかりだな…。










ねぇ、先輩、


走ることは疲れるね。





なのに、どうして先輩を想って走る時は、


その疲れさえ吹き飛んでしまうんだろう。











目の前に閉ざされた、美術室の扉ー…





私は一度足を止め、その場で深呼吸をする。






深呼吸をしたのに、心臓のドキドキは収まらない。





むしろ美術室の扉をノックしたくて手を伸ばそうと思えば思うほど、そのドキドキは速くなっていく。











もう一度、深く深呼吸をし、私はその扉をコンコン、とノックした。






中から返事はなく、私はその扉を開ける。


手で引いたと思えば古臭い音が鳴り響き、美術室の中が見えるようになる。









『………先輩……?』





でもお目当ての人物は、そこにはいなかった。







けれど美術室の扉が開いたことで、その音に隣の美術準備室にいる先輩が気付いたのだろう。









『先生、またなんか用事?』






その声と共に、先輩が美術準備室から顔を出したー…









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