この恋、きみ色に染めたなら






『……は……入りました……』






私の言葉に、先輩の眉がピクリと動いた。







『認めんの?
 それはつまり、俺がお前の絵を描かなくてもいいってこと?』







先輩の問いかけに唾を呑む。










『……先輩の約束、守れませんでした……。

 先輩がこの部屋に入るな、そう言ったあの日からずっと入らないようにって思ってました。


 荷物を運んだ日だって、私、美術準備室の前で入らないようにしました…。

 でも……事情を知らない先生がこの部屋の扉を開けて……初めてこの部屋を見て……先輩の過去を知りました……』









『……俺の過去?』






先輩の怒りを通り越したような、その目に私が映っていて。



怖かった、先輩を本気で怖いと思ったー…



けど、それでもどうしても伝えたいことがある。










『先輩の……好きな人のこと……』









< 130 / 324 >

この作品をシェア

pagetop