この恋、きみ色に染めたなら
『……は……入りました……』
私の言葉に、先輩の眉がピクリと動いた。
『認めんの?
それはつまり、俺がお前の絵を描かなくてもいいってこと?』
先輩の問いかけに唾を呑む。
『……先輩の約束、守れませんでした……。
先輩がこの部屋に入るな、そう言ったあの日からずっと入らないようにって思ってました。
荷物を運んだ日だって、私、美術準備室の前で入らないようにしました…。
でも……事情を知らない先生がこの部屋の扉を開けて……初めてこの部屋を見て……先輩の過去を知りました……』
『……俺の過去?』
先輩の怒りを通り越したような、その目に私が映っていて。
怖かった、先輩を本気で怖いと思ったー…
けど、それでもどうしても伝えたいことがある。
『先輩の……好きな人のこと……』