この恋、きみ色に染めたなら
『俺……お前を利用するだけかもしれない。
利用して、傷つけて、お前には何もしてやれないかもしれない…。
それでもお前は俺の傍にいんの?』
先輩の少し弱った声…
いつもは聞かない、その声に、私の胸はチクチクと痛む。
“傍にいるよ”と私が答えた時、それはただの悲しい恋にしかなりえない…。
心のどこかで私を好きになって、と叫ぶ自分もいる。
心のどこかで紗季さんを忘れて、先輩を好きだと言ってる私を見て、と泣いている自分がいる。
それでもね…
先輩が私を絵のモデルとして見つけてくれたのは、神様が紗季さんの代わりを私なら出来ると、そう言ってくれてるのかもって…
他の人ではなく、私を真理子さんのお店に連れて行ってくれたのは、紗季さん以外を描けなかった先輩が私のことを描いてる、その前進した姿を見せようとしたからで。
先輩には紗季さんだけだー…
でもね、それでもいい。
嘘つきで、未練がましくて、強引な先輩を見ている人は、気にかけている人がここにいるのだと知っていてほしかった。
私が先輩を好きだと、そう分かっていてほしかった。
『いいよ、先輩。
先輩を諦めたり…忘れようとする方が私には無理…。
先輩の傍から離れることの方が私には無理だから…。
傷ついても、利用されるだけで終わっても、それでも私は先輩の傍にいたいです』
ねぇ、先輩。
これが私の恋の決断です。
だから、先輩の傍にいさせてください。
先輩のことを好きでいさせてください。