この恋、きみ色に染めたなら
『お前……本当にバカな女。
こんな男なんて見てないで、お前みたいなのでもいいって想ってくれるような男の所に行けよ…』
『本当に魅力のない女、なんでしょうね。
こういう女がいいって想ってくれる優しい人はいないみたいです』
『……なら、俺の傍にいさせてやるよ』
例え、それが紗季さんの代わりでもー…
『俺がお前を離すことはあっても、お前は俺の傍から離れんな。
それが俺の傍にいさせてやる条件だ、呑むか呑まないかはお前が決めな』
例え、私の想いは報われなくてもー…
それでもいい、そう思える恋なんだ。
先輩への想いは、先輩への恋はー…
『先輩、私、その条件を呑みます。
私を先輩の傍に居させてください』
私の返事に、先輩は私を手を掴み、その手を離させると、
くるりと音もなく振りかえり、私と視線を合わせた。
『お前みたいに自己犠牲でも俺を好きだと言う女は初めてだ。
お前の好きっていう想いだけは覚えててやるよ』
『じゃ、釘をさすためにももう一回。
先輩、私、先輩のことが好きです。
古里紗希として先輩に告白した、“好き”の想い、これで最後だから。
ちゃんと覚えててくださいね?』
私はニコッと微笑む。
古里紗希の笑った顔を先輩に少しでもいい、覚えていてほしかったから。
『……ありがとう、紗希…』
先輩のこの言葉を最後に、私は紗季さんになるー…
先輩、覚えていてね?
古里紗希が先輩のこと、好きってことー…
心の片隅でいいから、覚えていてね?
先輩が好きー…