この恋、きみ色に染めたなら
第3章
*男運のない女の想い
あの告白から、二週間。
放課後は先輩と美術室で過ごす、そんな日々を続けていた。
『……完成…』
オレンジ色の夕日が傾く頃、先輩はそう言って筆を持つ手を置いた。
『少しは脚色して描いてもらえました?』
私は指定された椅子から立ち上がり、先輩の傍へと歩み寄る。
『………』
無言、されど先輩の目が私を捕える。
先輩の目で、先輩が言いたいことが分かった気がする。
きっと、紗季さんを描き終わったのだろうー…
『意外と絵を描いてもらうって時間がかかるんですね。
いや二週間って遅いのかな、それとも早いのかな?
ひとまず描き終えることが出来たのなら、良かったです』
私は再び、さっきまで座っていた椅子に腰かけ、先輩にそう話す。
『……紗希のおかげ、だな』
先輩はそう言って、描き終えたばかりの絵をイーゼルごと隣の部屋に運ぼうとする。
紗季さんの絵は私には見せれない…か。
紗季さんの代わりになる、そう言ったけれど。
どこか先輩も分かってる、理解してる、どんなに私が紗季さんを演じたくても演じきれていないことを。