この恋、きみ色に染めたなら
*隣を歩いてもいいですか。
そして、放課後-…
帰りのSHRを終えて部活に行く者、委員会に参加する者、帰宅する者に分かれ始めた頃、その人は前触れもなく突然現れた。
『きゃー!成田先輩よ!』
しかも女子の黄色い声を浴びながらの登場。
『成田先輩、最近このクラスによく来てくださいますよね!?』
教室の出入り口に一番近かった女子が先輩に問い掛ける。
目がハートで、頬が真っ赤に染まっている女子に先輩は目を合わせようともしない。
ただひたすら教室の中を見回しているだけ。
でも、そんな様子が、たったそれだけのことが嬉しい。
本当に他の女の子のことは視界に入ってないんだな…
-…ズキン…
嬉しいはずの事実、なのに私の胸は痛む。
『俺、迎えに来ただけだから』
顔は合わせないのに、先輩はそう言って教室内をキョロキョロと見回している。
『……え、それってこのクラスの女子…ですか?』
『じゃなきゃ、このクラスに来る意味がない』
先輩は冷たくそう言い、真っ直ぐと教室に入り、こちらへと歩み寄ってきた。