この恋、きみ色に染めたなら
先輩にそう言われ、私はいそいそと帰りの支度をする。
えっと……確か明日、化学の小テストがあるから…えっと、教科書……
机の引き出しに入っているはずの教科書が見つからず、私は後ろの個人ロッカーに移動し、がそこそと漁るも入ってなくて…
『紗希、何やってんの?』
凪が慌てて探す私に近寄り、そう問いかけてきた。
『明日、化学の小テストあるから見直しておこうと思ったんだけど教科書が見当たらなくて……』
『え、紗希、昨日、隣のクラスの小林君に教科書貸してたじゃん』
凪の言葉に、昨日のことを思い出す…
た、確かに昨日、小林君って言う人に教科書を貸した…
授業始まるほんの少し前に来て、なんでか分からないけど私に教科書を貸してって言われて貸したまま……
『紗希、まだ?』
ちらりと横を向くと、先輩は腕を組み、怒った顔で私を見つめている。
『あ……あの、教科書………なんでもないです…!
お待たせしました!先輩、行きましょ!』
えぇーい!!
もう小テストなんでどうでもいい!!
私が鞄を持つと、
『んじゃ、行きますか』
先輩はそう言って、私の前を歩く。
ふと凪を見つめるニコニコと微笑んでいるー…
唯一、凪だけが微笑んでくれている、周りからは驚きと冷たい眼差しを感じながらも私は先輩の後に続いた。