この恋、きみ色に染めたなら
『うそ、本当ー!!成田先輩、握手してください!』
『私も私も!成田先輩をこんな近くで見られるなんて…もう死んでもいいかも…』
握手って……
芸能人ですか、と問いかけたくなるのを必死で堪える私。
様々な声が飛び交う中、先輩はげんなりという顔に変わる。
『じゃ、死んでくれる?
ただし、小林っていう奴を連れてきてくれた後に』
先輩はニコッと微笑み、そう言い放つー…
そんな言葉、誰だって言われたら傷つく…
『わ、分かりました!』
『小林を連れてきます!そしたら先輩のお顔を拝まさせてください!』
……傷、つかないね……。
そんな黄色い声が再び飛び交う中、先輩は深いため息を吐いて、げんなりという顔で女子たちを見つめていた。
そして、そんな女子に連れてこられた小林君…
その小林君に“紗希から借りた教科書、持ってこい”と命令する先輩。
その姿さえ“きゃー”と叫ばれる先輩って……
改めて、先輩がどれだけ女子生徒に人気があるのかを理解したよ…