この恋、きみ色に染めたなら
『先輩……私は馬鹿だし…単純だから。
先輩の言葉一つで、先輩の行動一つで嬉しくなったり、傷ついたりするんです…。
私に落ちるかもって…どのくらいの確率があって言ってるんですか…?』
『落ちるか落ちないか、そんなの紗希の努力次第だろ?
とにかく、いっつも泣きそうな顔をしてるお前に紗季の代わりなんて出来ない。
確率とか、誰かの代わりとか、そんなごちゃごちゃしたもの必要ない、お前自身で俺を落としてみろよ』
フンって鼻で笑う先輩はどこか楽しそうで、
紗季さんの代わりなんて無理だと、代わりなんて必要ないくらいに紗季さんのことを想ってると遠まわしに言われても、それでも単純な私は私自身で先輩にぶつかっていきたいと思った。
『先輩……ご自身で発言した言葉くらい、責任持ってくださいよ?
私、全力で先輩にぶつかっていこうと心に決めましたから…』
負けたくない。
だって紗季さんより、私の方が先輩を好きだと思ってる。
私の方が先輩を好きだもん、ずっと、ずっと先輩だけを想い続ける自信があるもん。
『紗季を越えて、俺を落としてみてよ、紗希』
先輩のその低くて甘い声を聞き、私は先輩の腕を掴んで、一歩前に出る。
『先輩、覚悟してくださいね!
絶対に、先輩を落としますから!
私のこと、好きになってもらいますから…!』
つい緊張のせいか、早口になってしまったけれど、言いきってスッキリする。
紗季さんの代わり、なんかじゃなく。
先輩、私を見て。
私を見てください。