この恋、きみ色に染めたなら
『お手並み拝見、ということで。』
先輩は楽しそうに笑みを浮かべ、私を見つめる。
『私の事、取り返しのつかないくらい好きになっちゃっても知りませんから』
私も先輩を真似て、フンって鼻で笑う。
本当は紗季さんから私にどうやって振り向かせればいいのか、全く考えなんか思い浮かんでないんだけど…
不安なことばかりだけど、それでも先輩のこの笑顔をいつまでも近くで見ていたいから、だから出来ることから頑張っていこう。
『はいはい、じゃ、とりあえず靴に履き替えてこいよ』
先輩に言われ、まだ上履きのままだったと思いだす。
『あ、はい、今履き替えてきます!』
そう返事をするなり、私はダッシュで自分の靴が置いてある下駄箱に向かった。