この恋、きみ色に染めたなら
さっきまで長蛇の列があったはずなのに…
どうして先輩が通れる道が出来て……
『うそ……何あの人……めちゃくちゃカッコいいんですけど…』
『本当……この世にあんなにも綺麗な男の子がいるなんて……』
そんな声が聞こえてくる中、私は恐る恐る先輩が抜かしていった人達に視線を向けた…
………皆さん、目がハートになってます………
そんなハートだらけの視線の中、先輩は黙々と歩いていく。
『この映画、観たいんだけど』
チケットを購入する場所まで楽々先輩と私は辿り着き、先輩は澄ました声でスタッフの人に声をかけた。
『……あ、はい……学生二名様ですね……。
すぐに上映となります、席は…一番後ろのカップルシートがございますがどうなさいますか?』
映画館のスタッフの人まで目がハートになってるー…
『カップルシートって何?
その席しか空いてないならそこで』
先輩……カップルシートって……本気ですか……!!
『かしこまりました』
とってもルンルンな声でチケットを手渡してくるスタッフさんに、先輩は会計を済まそうとしている。