この恋、きみ色に染めたなら
『……私の片想いですから……』
私が答えたと同時に、映画館のスタッフの人が注文していた商品の準備が出来たのか私の方に差し出してきた。
私はそれを受け取ろうとして、手を差しのばすもー…
『そっか、なら俺にもチャンスはあるね』
山科先輩の言葉に、一瞬その手を引っ込めてしまう。
言葉が出ない私は顔を山科先輩に向ける。
『……なんですか、チャンスって……』
『うーん、俺、紗希ちゃんにずっと片想いしてるから。
紗希ちゃんに振り向いてもらう、そのチャンス?』
山科先輩はニカッて笑って、そう言う。
俺、紗希ちゃんにずっと片想いしてるから……?
紗希ちゃんに振り向いてもらう、そのチャンス……?
………え……………!?
『……え……?』
思わず心の中で呟いたものが口から出てしまった…