この恋、きみ色に染めたなら
『………す、すみません……』
先輩のすぐ近くまで来たところで、先輩にそう声をかけると、先輩は機嫌が悪いのか少し怒ったような顔で私を見てきた。
ひゃぁぁぁぁぁぁ…!!
先輩、やっぱり待たせ過ぎちゃって怒ってる……
『…あの……えっと………』
ここはもう一度、謝っておくべきか…
言い訳したって、結局遅くなったことに変わりはないし……
『あの……先輩、すみません………』
私が謝罪するも、先輩は視線を反らし、私の手からトレーを奪うと、そのまま入口に入っていく。
途中、スタッフの人にチケットの確認を言われ、私は急いで先輩の元へと駆けよった。
『お二人様、5番シアターにて上映開始しておりますので、足元にお気をつけて移動してください』
チケットは半切れとなり、私は先輩の分まで受け取り、手にしっかりと握る。
『…あ、先輩、私持ちます…!』
『いい。てか、さっき話してた奴、うちの学校だろ?誰?』
先輩はむすっとした声で私に問いかけてきた。