この恋、きみ色に染めたなら
『けど、アイツ、サッカー部だろ?
紗希はマネージャーでもないのに、どういう知り合い?』
先輩に問いかけられ、私自身も戸惑う。
比呂と付き合う前に確か、一度だけ一緒に帰ろうとは言われたことあるけど…
そして今、好きとか冗談言われたけど…
どういう知り合い、と聞かれるとなんて答えたらいいものか…
……あ!
『元彼の先輩なんです、それで少しだけお話したことがあって……』
比呂もあんなんだけどサッカー部の一員だし、うん、幽霊部員だけど。
でも成田先輩に変な誤解してほしくないし。
けど先輩はもともと誤解を受けてもなんでもないよね…
『へー。あの浮気性の元彼ね…。どうでもいいけど』
先輩の言葉に軽くため息…
そうだよね…分かっていた台詞だけど、本人から言われるのはやっぱり辛いな…
『けど、アイツ、紗希のこと好きなのかもよ?』
先輩はそう言って、ニカッと笑う。
“アイツ、紗希のこと好きなのかもよ”の言葉に、ズキッと胸が痛む。