この恋、きみ色に染めたなら
『紗希を見つけてすぐに紗希のところ行ったし。
紗希と話してる時の顔、普段は知らないけど生き生きした顔をしてたし』
先輩は顔色一つ変えないで、そう話してくる。
それが余計に胸の痛みを酷くさせるー…
『紗希、良かったな』
……良かった……?
何が良かったって言うの……?
山科先輩が私の所に来てくれてこと?
山科先輩が生き生きとした顔で私と話してくれたこと?
山科先輩に好意を持たれているってこと?
『………何が良かった…なんですか……?』
視線さえ合わせられず、ただ震える声で先輩に問いかけた。
『紗希を好んでくれそうな奴がいて、良かったなって…』
先輩、それ本気……?
『あれ……紗希、どうした?』
俯く私に先輩は気が付き、まるで何事もなかったかのような感じで声をかけてくる。
『………痛い………』
『痛い?どこか怪我してんのか?』
『……痛い………』
私がそう答えると、先輩は私の顎に親指と人差し指を添え、優しく私の顔を上げさせた。