この恋、きみ色に染めたなら






私はもう一度、先輩の胸に顔を戻した。







先輩がどうしたいのか分からない。


先輩がどう考えて、思ってくれてるのかも分からない。






けど、私と同じように先輩が苦しむ顔をするならー…



例え曖昧でもいい、嘘でもいい、先輩に“どうしたいの”と問いかけるのはやめよう。












『………先輩、この映画、一緒に観てもいいですか?』





私の言葉に、先輩は私の体を離し、





『紗希と観るためにチケットまで買ったんだろう?』




と、歪む顔で、そう答えてくれたー…










願っても願っても、

先輩の心は手に入らない。



信じても信じても、

先輩の言動に裏切られるかもしれない。




けど、やっぱり、それでもいい、そう思えてしまう。













『先輩……もう少しだけ……もう少しだけ、先輩を好きでいてもいいですか…?


 先輩を苦しめるだけだけど……私はやっぱり先輩の事が大好きから……。

 
 突然、先輩への想いを諦める……』






そこまで言ったところで、私は気が付いてしまったー…





突然、先輩への想いを諦めることなんて出来ない、そう言おうとして、気が付いてしまったんだー…











紗季さんが事故で亡くなり、

想っても想っても届かない相手になってしまった…



突然、もういない相手だからと言われても気持ちの整理なんかつかない…







紗季さんが亡くなって二年が経つ今も先輩は気持ちの整理をすることが出来ていない…









私が先輩に思うことは、先輩が紗季さんを思うことと同じ………










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