この恋、きみ色に染めたなら
『……紗希、行こ』
先輩は静かに、ただ呆然とするだけの私の手を引いて、歩き出す。
私は引かれるまま、そのまま先輩の後をついていく。
私はこれからもきっと、
先輩がこんな風に手を引いてくれれば、その後ろをついていく。
傷ついて、悲しくて、苦しくて、泣いてばかりの恋かもしれない、けど私はこの手に引かれれば、またこの手に恋をするー…
いつまでも、先輩を好きになるのは止められないー…
先輩への私の恋、
紗季さんへの先輩の恋、
絶対に交差することはない、そう知っていても、それでも私はこの手に引かれていたい…
『ねぇ……先輩……』
『何?』
振り向きもせず、ひたすら足を動かす先輩。
その先輩に遅れないようにと、私も足を動かす。
『………好きになってごめんなさい……』
私の言葉に、先輩の歩くスピードが遅くなったけれど、
それでも先輩はその足を止めることはなかったー…