この恋、きみ色に染めたなら
『……え…』
手を掴んだ相手に視線を向けると、その相手は比呂、だった。
……比呂……?
心なしか怒っているのでは、と思えてしまうような怖い顔を見せる比呂。
『……比呂?』
私がそう言うと、比呂はハッとした顔になり、そして手を離す。
『………わりぃ……』
比呂はそう言うと、そのまま歩いていってしまった。
……比呂、どうしたんだろう…。
私は比呂の行動の意味が分からず、しばらく比呂の背中を見つめていた。
『前々カノちゃん♪
少しは嫉妬とかしちゃってます?』
比呂の背中を見つめる私に佐伯由香利さんが問いかけてきた。
『……嫉妬…?』
『前々カノちゃんだって、一度は比呂とそういう関係だった訳ですよね。
だから、元彼に彼女がいるとか…嫉妬しちゃいます?』
佐伯由香利さんの言葉を自分の心の中に問いかける…