この恋、きみ色に染めたなら
『……え……?』
先輩、今……
意識してる女に触りたいって……
それって……どういう意味……?
いや、本気にしちゃダメ……
多分……先輩のことだから、きっと私をからかいたくて……
でも……おでこにチュウも……?
『紗希、一応、言っておくけど』
『だ…大丈夫です!い…今の…あの…本気にしてませんから……!』
『本気って?
俺の言葉?それとも行動?両方?』
先輩の言葉に“どっちもです”と答えると先輩はムスッとした顔になる。
……なんか、先輩…怒ってる……?
『紗希、俺のこと、軽い男だとか思ってない?』
軽い男……?
『俺、自分の心に入れた女にしかあんなこと言わないし、しないから。』
先輩はそれだけ言うと、一度も私に振り返ることなく、グラウンドの方に歩いて行ってしまった。
自分の心に入れた女にしか言わない、しない……
それはつまり、私は先輩の心に入れた、っていう解釈でいいのかな……
ねぇ……先輩。
私、先輩以外の人の言葉にはすぐに否定できます。
先輩のことが好き、私の想いはもう決まってるからー…
けど、先輩の言葉には、先輩の行動にはすごく悩んじゃう私がいます……
ねぇ、先輩ー…
さっきの言葉の意味も、おでこにチュウも、どういうつもりでしたんですか…?