この恋、きみ色に染めたなら
『……凪の言うとおり。
実は昨日、映画館で山科先輩と遭遇して、その時に軽く好き…みたいなこと言われたんだけど……』
『………え!!!?』
私の言葉に間髪いれずに凪が変な声を出してくる。
私はそんな凪に気が付きながらも、そのまま言葉を続けた。
『……でも冗談だと思ってたんだ。だから凪にも言わなくてもいいかなって…。
さっき山科先輩に呼ばれて“サッカー部のマネージャーをやらないか”って言われて……誘う理由がやっぱりそんな感じで………。
マネージャーの件、考えといてって言われて……。
そしたら今度は比呂が来て、比呂からヨリを戻したい…みたいなこと言われて……』
『え!比呂!!?』
『……う……うん……』
凪は今にも目玉が飛び出してきそうな様子で私を見つめる。
『………何アイツ……今更、紗希の魅力に気付いたって』
『ち、違うの、凪!』
『違うって?』
『比呂が別れを切り出したのには…ちゃんとした理由があって……比呂も脅されて、私に害を及ばないようにって……それで別れを切り出してきたんだけど……』
『脅された?紗希に害が及ばないようにって……何、どういうこと!?』
凪は戸惑ってるー…
それは私の言い方がいけないからだ…
だって、今、私自身が誰よりも比呂から聞かされた真実に驚いて、その事実を受け止めるのに戸惑ってしまっているからー…