この恋、きみ色に染めたなら
『紗季さんじゃなくて…紗希のことを気にかけている自分がいる。
それが恋かどうか…先輩自身が気付いてるかは分からないけど、今まで紗季さんしかいなかった心の中に紗希の存在が入ってきた、そのことに先輩自身が驚いてるんじゃないかな…?
紗季さんだけ、紗季さんだけ…そう思っていたはずなのに、ふと紗希の存在を気にしてしまう自分に言い聞かせてるんじゃない…?
“紗季を忘れちゃいけない”って……』
凪の言うことが本当なら、私は飛び跳ねるー…
でも………そんなはずがないよ………
だって先輩は紗季さんのことを忘れないって………
『紗希、紗希が先輩の言葉や行動で悩むのは、一瞬でも期待を持たされるようなことを言われたり、されたりするからじゃない……?』
『…………先輩………“俺を落としてみろ”って……“俺以外に触られんな”って………“意識してる女に触りたいっていう感情くらいあります”って…………“自分の心に入れた女しかあんなこと言わない、しない”って…………』
『どんな状況で、どんな流れで先輩が紗希にそう言ったのかは分からない。
けど、意識していない女にそんなこと言うかな?
紗希のこと、少しは“好き”っていう感情を持って接してるから、先輩はそう紗希に言うんじゃない、どの言葉も…』