この恋、きみ色に染めたなら
『へー。以外。
紗希ちゃんは成田先輩のことが大好きだから、俺なんかのお誘いに乗ってくれるなんて思ってなかった』
頭を掻きながら山科先輩はそう言い、私の顔を見つめてくる。
その顔がなんだか可愛らしくて、私の胸がキューってなる。
成田先輩は弱みなんて見せない。
弱み、弱ってるところ、それを見せようとはしない。
でも、山科先輩はこんな顔も見せるー…
『紗希ちゃんがマネージャーになってくれたら、百人力、いや千人力だな!
俺、次の試合も頑張れそうな気がするよ!』
山科先輩は成田先輩が言わないこともさらりと言う。
山科先輩は女の子が欲しいって思う言葉、さらりと言っちゃうう……。
『紗希ちゃん、早速、今日の放課後からとりあえず見学って感じで来てくれない?』
………放課後……。
別に先輩と約束してる訳じゃない……。
だから私がどんな都合を作ったって…。
『………あ、あの……明日の放課後からでもいいですか…?』
私は慌てて山科先輩にそう問いかけ直していた。
『分かった、いいよ。
明日の放課後、俺が紗希ちゃんを迎えに行くね!』
山科先輩はそう言うと、ニコッて優しく微笑んだ。
『………すみません』
『いいよいいよ!まぁ、今日からの方が俺は嬉しかったけど…。
それでも明日から紗希ちゃんと放課後過ごせる訳だし!』