この恋、きみ色に染めたなら








『凪……山科先輩に想う恋と想われる恋、どっちが私の方に向いてるか教えてくれるって…そう言われたの……それでね……?


 成田先輩のこと、どうやっても諦められないとか忘れられないとか、そう思ってる自分がいた。

 でも……凪の言葉を聞いて、想われる恋の方が私には向いてるかも……そう、思った…』








先輩には先輩だけの大事な想い出がある。



先輩には先輩だけの特別な想いがあった。



先輩が紗季さんを忘れたといっても、それでもそれらのことがなくなる訳じゃない…



先輩が紗季さんを好きじゃないと言っても、私はそれが本当か確かめたくて先輩に色々と聞いてしまう気がする。



先輩だけの大事な、特別なものに踏み込んでしまいそうな気がする……。












『……想われる恋の方がいいよ……。

 でも……私……どうしてかな……。

 先輩を諦めたい、諦めようって……思えない……。

 山科先輩は私の欲しい言葉も行動もしてくれる…きっと……。

 成田先輩がしてくれない……私のことを好きでいてくれる…。

 けどね………けどね……諦められない……諦めたくない……そう、思っちゃうの……』










『………紗希………』







凪に呼びかけられるも私の目には涙が溜まっていく。



そのせいで凪の姿が見えなくなって………












『……成田先輩………』






涙で視界が悪くなった私の横で凪がそう、呟いたー…









< 231 / 324 >

この作品をシェア

pagetop