この恋、きみ色に染めたなら
凪の言葉に私は指で涙を掬い、顔を上げる。
そこには体育が終わって教室に向かおうとしている体操服姿の先輩が立っていた。
『……紗希?』
私の様子に何かを感じたのか、戸惑った声で私の名前を呼んでくる。
『どしたの、お前?』
先輩はそう言って、私の方へと一歩を踏み出してくる。
先輩はユックリ私のもとに来ると、私の顔を見つめ、
『…泣いた?』
と、問いかけてくるー…
『………泣いてないです…』
私はそう答えながら、視線を床に落とす。
私がそう答えると、先輩は私の顎に手を添え、そして顔を上げさせる。
『目、赤い。
さっきの元彼になんか言われた?』
『………何も。』
『じゃ、なんで?』