この恋、きみ色に染めたなら
『………紗希…』
先輩の言葉に私の体がピクッと揺れる。
こんなこと言って……先輩にもう完全にフラれる……
私は完全にフラれる、そう思って目を閉じた。
『紗希……』
先輩に名前をもう一度だけ呼ばれた時、私は何か温かいものに触れる……
そっと目を開けると、そこは先輩の腕の中……
『……え………先輩………!?』
先輩のこの行動の意味が分からず、私は先輩の腕の中で動揺していて……
目を左右に移動させながら、先輩の言葉を待っていたー…
『………諦めなくていい。
俺がお前を好きになるから。
だから諦めんなよ。
俺、お前の泣いてるとこ、見たくねーんだわ……』
そう、耳元で先輩の声が聞こえたー…