この恋、きみ色に染めたなら
嘘だと思った。
先輩がくれた言葉は嘘じゃないかと思った。
私があんまりにも欲しい言葉だったから、だから夢か嘘か……
嘘だ……
先輩は嘘つきだ……
そう言って私をまた諦めさせなくするだけで、
先輩は紗季さんを忘れたりなんかしないー…
『お前が元彼と話してる姿を見て、ちょっと焦った。
お前……元彼のこと、すっげー大好きみたいだったから、本当に元彼の所に戻っちゃうんじゃないかって、そう思ったら焦った。
でも、分からないんだ、俺。お前みたいな煩い奴がいなくなるのが寂しくて焦ったのか、それとも元彼にとられると思ったからなのか分からない。
けど…俺を焦らせるような奴ってことは分かった。
お前のこと、考えるから。だからお前は俺の傍にいろ』
先輩の言葉の後、先輩が私のことをきつく抱きしめてくれた。
先輩の胸に潰されちゃうんじゃないかっていうくらい……
苦しくて、息も出来ないくらい……きつく抱きしめられた。
『先輩………私…先輩のこと、好きでいてもいい……?』
『お前、人の話、聞いてなかったの?
あの内容から自分で考えてくれない?』
あの内容が嘘でもなんでも……
すぐ近くで聞こえる先輩の心臓の音、このトクントクンっていう少し早い音を私は信じる。