この恋、きみ色に染めたなら
『成田先輩も紗希ちゃんに気持ちを告げられたら、今の紗希ちゃんと同じように考えるよ。
どんな相手に好きって言われても、自分の心に入れた女以外に気持ちは揺れないって…。
成田先輩の心にはもうその人しかいない、だから紗希ちゃんの想いなんて先輩には届かない、先輩は紗希ちゃんに振り返らない…!』
いつの間にか山科先輩の言葉に私は自分の耳を塞いでいた。
そんなの聞きたくない…
そんなこと聞きたくない……
だって先輩は“お前を好きになる”って……そう、言ってくれたもん……。
『もし成田先輩が紗希ちゃんに期待させるような言葉を言ってるなら、そういう行動をしているなら……。
紗希ちゃんに、紗希ちゃんの想いに同情してるだけだよ、成田先輩は。
もし、忘れられない人を越えて、紗希ちゃんを好きなら、もう紗希ちゃんと成田先輩は両想いで付き合ってたりしてるよ……』
ズキズキと胸は痛く、喉の奥の方も熱くなってくるー…
上手く唾も呑みこめない位に喉の奥がジンジンとするー…
『想う恋は……期待なんてしちゃいけない。
相手の想いは相手にしか変えられない…。
でも想われる恋は違う。
自分の想いさえ変えてしまえばいい…。
相手の想いを変えるよりも自分の想いを変える方が簡単でしょ?
だから、紗希ちゃんの想いを変えなよ』