この恋、きみ色に染めたなら

『俺、紗希ちゃんのこと諦めないから。

　だから未練がましい成田先輩に嫌気さしたらいつでも俺のところにどーぞ！』






山科先輩はそう言って、いたずらっ子のように微笑む。




成田先輩は山科先輩の言葉にため息をもらすのを私は横で見る。










『成田先輩もご自分の想いがハッキリするまで紗希ちゃんは自分のものとか甚だしい勘違いはやめてくださいね』








そう言われた成田先輩は、“はいはい”と山科先輩の言葉を流す。











『じゃ、紗希ちゃん、またね』





山科先輩はそう言って、私に満面の笑みで手を振ってくる。




私はそれに返すように手をぎこちなく振り返す、も、山科先輩は嬉しそうに微笑んでいた。









その背中を見つめていると、





『てか、紗希、普通にモテんじゃん。

　元彼にサッカー部の男、俺に振られても行く手があるな』



成田先輩はそう言って、二カッと微笑む。








元彼にサッカー部の男って……



私、どちらもお断りしてます。








『行く手なんて必要ないんで、そろそろ成田先輩が私に落ちてくださいよ。』






だって、私が欲しいのは成田先輩、あなたの心です！