この恋、きみ色に染めたなら
『……でも、先輩に会いたいな……』
それは私の本音ー……
なんだかんだで先輩とはずっと一緒にいたから、先輩の声が聞きたい……
先輩の怒ってる顔でもいい、紗季さんを想う時の切ない顔でもいい、笑ってる顔なら最高だけど。
どんな表情でもいいから、先輩に会いたいー……
先輩に会いたいよ……
『きゃーー!!』
その時、女子の黄色い叫び声が聞こえ、私も凪も揃って廊下の方へと目を向ける。
この黄色い叫びを起こしているのは、成田先輩………
『山科先輩、このクラスにご用事ですか!?』
その声と共に、私の視界にも映る山科先輩の姿ー……
その姿に期待していた人とは違って、私は視線を床に落とす。
私が会いたいって思っても、先輩は違うかー……
そう思わされて、更に沈む私ー……
『紗希ちゃんに会いに来たんだー』
でも山科先輩のその言葉に私は顔を上げ、もう一度山科先輩に視線を向ける。
『あ、紗希ちゃん!』
山科先輩はいつの間にか押し寄せていた女子という波を掻きわけて私の所までやってくる。