この恋、きみ色に染めたなら








『紗希ちゃん、今、成田先輩が来てくれたと思ったでしょ?』






山科先輩はニコニコと問いかけてくる。



私は山科先輩に言い当てられ、プイッと横を向く。










『分かりやすいですね、紗希ちゃん。

 でもそんなに残念な顔、俺に向けないでよ』










そんなこと言われても、残念な顔になっちゃうよ……





成田先輩に会いたい、そう思っている時にあの女子の叫びを聞いたら、成田先輩かもって…思っちゃうよ……












『まぁ……紗希ちゃんは成田先輩にぞっこんだから仕方ないか。

 紗希ちゃん、成田先輩に会いたくて仕方ないんだね。


 そんなに先輩欠乏症って顔を見ると、成田先輩にフラれた?』







山科先輩に私はキッと山科先輩に鋭い目を向ける。



それでも山科先輩はニコニコと微笑んでいて……


私の視線なんてなんともないような顔をしている。













『………ち、違います……!

 先輩には今……考えてもらってるところなんです……』










『ふーん、そうなんだ。

 じゃ、今日の放課後、俺と遊びに行こう?』











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