この恋、きみ色に染めたなら
『あら、紗希ちゃん、いらっしゃい』
先輩は向かっている最中は何故か無言で、とても話す雰囲気はなく……
そして連れてこられたお店は紗季さんのお姉さんが経営しているお店で…
笑顔で真理子さんが迎えてくれるも……
『紗希ちゃん、知り合い?』
山科先輩は不思議そうに私の顔を見ながら問いかけてくる。
知り合い……
知り合いは知り合い……だよね。
先輩と紗季さんとのこと教えてくれたし……
『……えっと。成田先輩の幼馴染のお姉さんで、色々と私の相談とかを聞いてもらったりして……』
私がそう答えると、一瞬だけ山科先輩の穏やかな顔が崩れる。
すぐにいつもの穏やかな顔に戻るも、私は何故かドキドキしている…。
それもそのはず……
だってあんなに成田先輩のことで話を聞かせてもらったり、話を聞いてもらったりしたのに……
今、私の隣には違う人、なんて……
『……そっか。』
短く返事をする山科先輩。
『あ、二人とも奥の席、空いてるよ』
私の不安、山科先輩の微妙な雰囲気を悟ってか、真理子さんは奥の席に案内してくれた。