この恋、きみ色に染めたなら

『………馬鹿がつくくらい、紗希ちゃんは先輩のこと、想ってんだね……。


　ごめん、俺こそ紗希ちゃんの気持ちを無視して、自分の気持ちだけをぶつけて…』








その言葉に私は顔を上げるー…





目の前でシュンとしている山科先輩ー……




私が、私の成田先輩への想いがこうさせてしまった……









でも、でもねー…




山科先輩のその顔を見ても、それでも私は成田先輩のことが好きー…










『……紗希ちゃん、俺、それでも諦められない。

　そんな簡単な想いで紗希ちゃんに好きとか言ってる訳じゃないから。


　けど、もうこうやって言いに来るのはやめる。

　好きな女を困らせても全然面白くないし、やっぱ好きな女は笑っててくれないとさ……。


　紗希ちゃんを笑わせられんのって成田先輩だもんな……。


　頑張れ、紗希ちゃん。紗希ちゃんの恋が上手くいくこと、俺、願ってるよ…』








山科先輩はそう言って微笑んでくれているけど。


その微笑みはいつものとは違うー……







でも、これでいい。







私は成田先輩のことが好きなんだからー………