この恋、きみ色に染めたなら
全身に広がっていく痛みの中、私は先輩が歩いて行った方に目をやる。
目もチカチカしてきて…なんだか霞んでいく……
それでも私は目が閉じる、その瞬間まで先輩の姿を追っていたくて……
『……紗希……!』
愛しい人の声に目を必死で開けると、その目には全力でこちらへと走ってくる成田先輩の姿が映った。
先輩………
先輩に話したいこと……
先輩に伝えたいこと……
私、あるんだけど………
でも……目が霞んで…口が上手く動かない………
先輩…………
『……紗希……!紗希……!おい!紗希!』
先輩の声が耳元で聞こえる。
先輩の温もりが触れた肌を通して感じられる。
『………………先輩……好きです…………』
目が霞んでも、
全身に力が入らなくても、
これしか声を出せなくても、
それでも、一番先輩に伝えたいこと、伝えられたよ………
ねぇ、先輩。
先輩のことが大好きだよ………………………