この恋、きみ色に染めたなら
『愛することができる奴は、きっと愛される。
その男はお前の魅力に気付かなかっただけだ。
だからそんな男に無駄な時間を費やすこともなくなって良かった、そう思えよ』
先輩はそう言って、らしくもない、私の頭を優しく撫でてくれた。
『なんて言ったらいいか分かんねーけど。
次は相思相愛な恋愛ができるよ、お前なら』
先輩の優しさが撫でてくれている、その手から伝わってくる。
その言葉から、先輩の一生懸命に励まそうとする想いが伝わってくる。
『……先輩……』
『何?』
『……ありがとうございます』
私はそうお礼を述べ、そして精一杯に笑った。
先輩の優しさに対しての感謝の想いが届くように、そう思って見せた笑顔。
『それ!その顔!』
先輩はそう言って、キャンバスの方に慌てて戻り、手を動かし始めた。
『……先輩?』
私が問いかけるも、
『うっさい、黙れ!
その顔、キープ……なんで顔、変わってんだよ!?』
そう、キレられました…。