この恋、きみ色に染めたなら







『……肇、いったい何があったのよ……!?』









『……俺が………俺が……俺のせいで………』









酷く動揺している先輩の横に私は座り、先輩の震えている肩に手を伸ばす。



やっぱり先輩の肩に触れることもなく通過してしまう自分の手を観察すると、自分の手の先に地面が見える。




少し透けた手から地面が見えることに、その事実に私は確信するー……







『………私……死んじゃったんだ…………』







誰にも聞かれることもない言葉。



誰からも“そんなことないよ”なんて言ってもらえなくて……







ここに私の存在が確かにあるはずなのに、それでも誰にも気付かれることのない存在……












『と……とにかく!今すぐ紗希ちゃんをここからもっと安全な所に連れていかなきゃ!』






真理子さんがそう言い、成田先輩から私を引き離そうとする。







『俺も手伝います!』






その様子を見ていた山科先輩が真理子さんにそう言うも、成田先輩は軽々しく私を持ち上げた。










『………触んな』





低くて、誰が聞いてもビクッとなるその声に山科先輩は出した手を引っ込めた。












『肇、あまり動かさないようにね!

 とりあえず、そこの歩道に連れていきましょう』






真理子さんの言葉に成田先輩は私をお姫様抱っこしながら、その場所へと向かった。










『救急車はすぐに来れるって?』






『連絡したら5、6分程でこっちに来れるそうです!』







『……そう……とりあえず止血しなきゃ』






真理子さんは着ていたエプロン脱ぎ、私の頭部から出血している部分を押さえ始めた。
















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