この恋、きみ色に染めたなら
救急隊員の人が病院に連絡し、搬送する病院を確認し、受け入れてくれる病院へと向かう。
学校の近くにある総合病院が私を受け入れてくれる病院だったみたいで、救急入口から私は運ばれた。
受け入れてくれた医師や看護師は救急隊員の人達からの情報を聞き、傷口を確認する。
真理子さんの素早い止血のお陰か、もしくは私が死んでしまったからなのか、傷口からの血は止まっているようだった。
『……頭部外傷か、とりあえず脳の損傷がないか確認しよう。
CTとMRIの両方の検査をするから、すぐに検査室に連絡して』
医師の指示で、看護師がすぐさま持ち合わせていたPHSで連絡を入れる。
救急処置室に一度運ばれた私を追いかけていた成田先輩に別の看護師が部屋の外で待っているように指示を出した。
成田先輩は言われた通りに部屋の外で立ち止まる。
私はなんともいえない顔で処置室を見つめる成田先輩の横に立つ。
『…………くそ……なんであの時………なんで止まらなかったんだよ……なんで振り返って………なんで……』
先輩は右手で作った拳を何度も何度も処置室の壁を殴っていた。
その手からは血が流れ出すほどー………
私はその手を止めたかったけど、先輩の手に触れることもできず、ただ、ただその姿を見続けるしか出来なかった。