この恋、きみ色に染めたなら
『はじめまして、だね。紗希さん……』
事故当時は学校の制服を着ていたのか、見慣れた制服姿の女の子が私に声をかけてきた。
『………どうして………』
写真と絵でしか紗季さんを見たことはないのに、その人は私に話しかけてくるのだ。
紗季さんはもう亡くなっていて……
私も死んでしまったから……だから、紗季さんが見えるの……?
『……突然で驚かせてしまったかな?
私、成田 肇の幼馴染の紗季と申します』
私のすぐ近くまできた、紗季さんはそう言って私に微笑んでくる。
その微笑みは先輩が描いたあの絵と同じで、やはり紗季さんなんだと確信する。
『……………あの…私は古里紗希と申します……。
あの………私……あの……』
この姿になって初めて会話できる人、私は自分の中にある“死んでしまったのかもしれない”という考えに答えが欲しくて問いかけようとするも上手く言葉にならず口を噤んでしまう。