この恋、きみ色に染めたなら
『でも、幽体が体から離れてしまっている時間が長ければ長いほど体に戻れなくなってしまうから危険なの。
だから私は紗希さんを紗希さんの体に戻すために、あなたの元に現れたの……』
幽体が離れている時間が長ければ長いほど体に戻れない……?
それは危険だって言うけど。
危険っていうのは、今のままでいると私が死んじゃうってこと……?
『………あの………私、死んじゃうってことですか……?』
私は紗季さんに問いかける。
『………幽体離脱したまま、だとそういうことになる。
だから私はそれを阻止したくて、あなたに生きてほしくて来たの』
紗季さんの想いは、紗季さんのその真剣な顔を見れば伝わってくる。
それでも思うー…
何故、紗季さんが私を助けたいのか……
紗季さんが生きている間に会ったことなんて一度もないのに。
それなのに、どうして紗季さんがー………
『………でも……どうして私を……?』
私が問いかけると、紗季さんは私を強い目で見た後、横を向く。
その視線を追いかけると、紗季さんの視線の先には俯いて歩く成田先輩の姿があった。
『肇が紗希さんに助かってほしいと強く願ってるから……』
紗季さんはそう言うと、私に視線を戻し、強い瞳で私を見つめる。