この恋、きみ色に染めたなら
*噂と凪の予想
『紗希、おはよ』
そう言って、私の前の席に腰掛ける、親友の凪。
高校に入ってすぐに意気投合した凪。
男勝りな一面もあるけど、実は同じクラスの委員長の山崎君に絶賛片想い中の恋する乙女だったりする。
『おはよ、凪~♪』
私がそう言うと、凪は振り返り、
『そういえばさ、比呂、また違う女と腕組んで歩いてたけど。
紗希、いい加減さ、比呂に別れを切り出せば?
あんなクズ男、紗希には勿体ないって!』
怒った顔でそう言った。
うん、別れを切り出せば、ではなく。
既に昨日、比呂から切り出された、私…
凪には色々と泣き事も聞いてもらってるし、ちゃんと報告しなきゃ!
『あ……凪、あのね?
実はその…昨日、比呂から別れを切り出されてね…?』
私がそう言い始めると、凪は椅子ごと私の机に寄せて、そして食入る様に私の目を見つめてきた。
私が全容を話し終えると凪は椅子から立ち上がり、“ちょっとあの野郎の所に行ってくる!”と言いだした。
わわわわわ…!
一度こう、と言い出したら凪の性格上、本当にやりかねない。
私は急いで凪の体を引きとめた。