この恋、きみ色に染めたなら









『肇、今日、私の所に来てくれたの。

 私の前で手を合わせて、教えてくれたの。



 “紗季を忘れる日は無い、でも一緒にこれからを過ごしていきたい子が出来たんだ”って……。


 そう、私に言いに来てくれたの。




 一緒に過ごしていきたい子、それって……私は紗希さんだと思う。

 
 今の肇の様子を見てたら……私の大好きな人が心から本気で想ってる人を助けてあげたいと思う気持ちも分かってくれるでしょ?』








“私の大好きな人”……そう紗季さんは言った。



今でも尚、成田先輩のことを想ってるー……






それでも先輩の想いを大事にしたくて、紗季さんは私のところに来てくれた………
















『……………ごめんなさい……。

 紗季さんの大好きな人を好きになってしまって……ごめんなさい…!』








もし私が紗季さんの立場だったら、今の紗季さんのように出来ていたかな……




ふと自分の心に問いかける。










例え死んでしまっていても、自分の好きな人が違う誰かと幸せになる姿なんて見たくない…




自分の好きな人と、そのまた好きな人を応援するために、紗季さんみたく助けになんてこれないかもしれない……













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