この恋、きみ色に染めたなら
『………本当に良かった……。
……お前を失わなくて………』
先輩は右手をおでこに置き、俯いてしまう。
でも微かに見える、先輩の唇の震えー……
先輩、また、泣いてるのかな……?
私は左手に動けと命令し、左手を先輩の方に差し出す。
先輩はそれに気が付き、私の顔を見つめる。
『………約束……したでしょ……?
ずっと……傍に……いる…って……。
ずっと……好きで……い……続ける…って………』
私の言葉に先輩は右目から涙を流し、宙に浮いている私の手を掴んだ。
『………守れよ……。
ずっと、ずっと……俺の傍で守ってよ……』
先輩の言葉に私は口元を緩ませる。
先輩はそんな私を見て、掴む手に力を込める。
『紗希、俺の話を聞いて。
俺、お前のことが好きだよ。
紗季の代わりとか、紗季がいないからお前とか……そういうんじゃなくて。
古里紗希のことを、俺は愛してる…。
いっぱい傷つけたし、遠回りもしたし、泣かせたりもしたけど。
今度は俺がお前を愛するから、だから、俺の傍にいて……?』